🧩レビュー
『実践版GRIT』は、単なる自己啓発書ではありません。著者キャロライン・アダムス・ミラーは、ポジティブ心理学の専門家として、GRIT(やり抜く力)をどうすれば育て、活かせるかを、豊富な科学的根拠と実践知を交えて説き明かしています。
本書の最大の特徴は、「GRITの定義と育成法」を丁寧に掘り下げながら、読者が自分の中にある“本物のGRIT”を見つける手助けをしてくれる点です。アンジェラ・ダックワースの研究に基づくGRIT理論をベースとしながらも、著者独自の視点から、良いGRITと悪いGRITの違いや、各要素(情熱・自制心・謙虚さなど)の具体的な育て方にフォーカスしています。
内容はIntroductionと16章で構成され、前半ではGRITの基本的な定義、現代社会で失われがちな背景、そして育成に向けた土台作りが語られます。中盤から後半では、GRITを構成する8つの資質(情熱、幸福感、目標設定、自制心、リスク・テイキング、謙虚さ、粘り強さ、忍耐)について、それぞれ詳細な解説が展開されていきます。
読者はそれぞれの章を通じて、理論を学びながら、実生活に落とし込めるエクササイズや内省的問いかけを得ることができ、読み進めるごとに自分の内面と向き合う時間が深まっていく構成です。
✅ 要点
- GRIT=情熱+粘り強さであり、成功のカギ。
- 過保護や失敗回避の文化がGRITを阻害。
- 本物のGRITは価値観に根ざした目的意識に支えられる。
- 良いGRITは他者にも好影響を与えるが、悪いGRITは自己破壊的。
- 自己認識・目標設定・強みの活用・習慣化がGRIT育成の基盤。
- GRITを支える資質:情熱、幸福感、目標、自制心、リスク・テイキング、謙虚さ、粘り強さ、忍耐。
- GRITは誰にでも育てられるスキル。
- 社会的視点(家庭・教育・職場)でのGRIT醸成も必要。
💡読後の感想
本書は、自己成長を志すすべての人にとって「一生ものの参考書」となる一冊だと感じました。単なる根性論や精神論にとどまらず、「なぜ自分は途中で諦めてしまうのか」「なぜ他人の頑張りがうらやましく感じるのか」といった誰もが抱える“内なる疑問”に、具体的かつ丁寧に答えてくれる本です。
とくに印象的だったのは、GRITには「良いGRIT」と「悪いGRIT」があるという視点です。目標に固執するあまり、自分や他人を傷つける“偽の粘り強さ”がある一方で、意味と価値に根ざした「本物のGRIT」は、周囲に良い影響を波及させる力を持っているという指摘にはハッとさせられました。
また、GRITを育てるための土壌として「幸福感」「謙虚さ」「忍耐」など、いわゆる“柔らかい力”が重要であることも非常に納得感がありました。成功する人ほど、意外にも自己肯定感や感謝の習慣を大切にしているという実例は、日々の生活のなかですぐに活かせるヒントが満載です。
著者自身の体験(過食症の克服やパフォーマンス・コーチとしての経験)に基づいた語り口も誠実で、説得力がありました。読者を鼓舞するというよりも、読者に寄り添い、「あなたもやり抜ける」と静かに支えてくれるような書きぶりがとても好印象です。
👥おすすめしたい読者層
- 挫折を繰り返してしまう人
- 長期的な目標に向けて努力を続けたい人
- 自己理解を深めたい社会人や学生
- 部下育成や子育てに悩む親・指導者・教育者
- 成功と幸せの両立を目指すすべての人
また、部活動や企業研修、コーチング・カウンセリングの現場にも応用できる内容が豊富であり、「人を育てる」立場の人にとっても非常に参考になる構成です。
⭐️評価
| 項目 | 評価(5点満点) |
|---|---|
| 読みやすさ | ★★★★☆(4.5) |
| 実用性 | ★★★★★(5.0) |
| 理論の深さ | ★★★★☆(4.5) |
| 汎用性(応用力) | ★★★★★(5.0) |
| 全体満足度 | ★★★★★(5.0) |
✅総評
『実践版GRIT』は、単なる読書体験にとどまらず、「行動と変化を促す書籍」です。
「自分を変えたい」「もっと粘り強くなりたい」「意味のある人生を歩みたい」と願うすべての人にとって、GRITという概念を自分自身の人生に落とし込むための最良の道しるべとなるでしょう。


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