レビュー
お金の本というと「家計簿・節約・副業・投資」のどれかに寄りがちだが、本書はその手前——“不安の正体”に真正面から切り込むのが新しい。
特に良いのは、精神論(気合・ポジティブ)に寄せず、「生理反応」「不安の分類」「資本の棚卸し」という枠組みで整理してくれる点。これにより、漠然とした不安が「今どの種類で、何が不足しているように感じているのか」に分解され、対策が具体化しやすい。
さらに“自分資本”という考え方が効いていて、現金だけを安全資産に見なす視野の狭さを外し、スキル・人間関係・経験など複数の資本を組み合わせて不安耐性を上げる方向へ導く。
章構成も、①不安が起きる仕組み→②不安の全体像→③資本の発見→④資本の育成→⑤勇気、というストーリーで、読むほどに「安心は貯金残高だけで決まらない」という感覚が腑に落ちる。
注意点としては、即効性のある節約テクや銘柄選びを求める人には物足りない可能性があること。ただ、長期的に“お金の悩みの再発”を減らしたい人には、土台から効くタイプの実用書。
お金と距離感を取り戻したい人の再起動本としておすすめできる。
要点
- 「お金の不安」は意思の弱さではなく、まず“反応”として起きる(生理面から扱う)。
- 不安には構造があり、世界に潜む「お金の三大不安」という形で整理できる。
- 現金だけでなく、自分の中に眠る10の「資本」を掘り起こすのが鍵。
- 複数の資本を育てて掛け合わせると、安心は“相乗効果”で増える。
- 最後は「怖いけれど大丈夫」と思える勇気=行動を支える心理的土台づくりへ。
読書の感想
読んで一番楽になったのは、「不安をゼロにしよう」とする発想自体が、足りない病を強める燃料になり得ると気づけたこと。貯金額や年収が増えても、比較と想像で不安は簡単に復活する。
だからこそ、お金“だけ”を安全の柱にせず、自分資本を複数持つという視点が効く。いま自分が頼れているもの、増やせるものを棚卸しするだけでも、未来の解像度が上がって焦りが減った。
節約や投資の前に、安心の設計図を描き直す——その順番の大切さを教えてくれる本だった。
こんな人におすすめ
- 「いくらあれば安心?」が永遠に答えが出ない人
- 節約するとストレスが溜まり、反動で散財してしまう人
- 周りと比べて焦りや劣等感が強くなる人
- 投資に興味はあるが、減るのが怖くて動けない人
- 老後不安が大きく、何から始めるべきか迷っている人
(上記の悩み例は出版社紹介文に基づく)
総合評価
★★★★☆(4.5/5)
不安の“根っこ”に効く設計思想が強い。即効の節約・投資テクより、長期で不安を減らしたい人向け。


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