書籍紹介
「新NISA」という言葉は聞いたことがあるけれど、制度が複雑でよくわからない…そんな初心者のために書かれたのが本書『世界一やさしい新NISAの始め方』です。著者は、元銀行員であり、YouTube「BANK ACADEMY」の運営者としても知られる小林亮平氏。登録者数80万人を超える金融系インフルエンサーとして、初心者にもわかりやすく投資を解説するスタイルが評価されています。
本書の最大の特長は、タイトル通り「イラスト」と「図解」を多用した構成です。金融に苦手意識を持っている人でも、視覚的に情報を整理しながら読み進めることができます。制度解説のパートでは、旧NISAとの違いや新制度のポイント(非課税投資枠1,800万円・非課税期間無期限など)を丁寧に解説。難解な金融用語もかみ砕いて説明されており、初心者にも安心です。
商品選びの章では、つみたて投資枠と成長投資枠それぞれに適した具体的なファンドやETFが紹介され、選定時のポイント(手数料、分散、リスクなど)にも触れられています。また、実践編では証券口座の開設から買付までの手順がスマホ画面付きで説明されており、操作に不慣れな人でも実践に移しやすい構成になっています。
さらに、年代別に投資戦略を提案している点も見逃せません。20代には「時間を味方につける積立重視」、30〜40代には「教育資金・住宅購入と両立した投資」、50〜60代には「リスクを抑えた出口戦略」と、それぞれのライフステージに寄り添ったアドバイスが展開されています。
最後にはQ&A形式で「非課税枠は再利用できる?」「夫婦で分けて使うには?」「売却のタイミングは?」といった実務的な疑問にも対応しており、実践力を高める内容となっています。
🔹読後の感想
本書を読んで最も強く感じたのは、「新NISAを始める心理的ハードルを大きく下げてくれる」一冊だということです。資産運用に関する本は数多くありますが、難解な専門用語や抽象的な説明に終始し、読み進めることすら困難な本も多い中で、本書はその逆を行く構成になっています。
特に秀逸なのは、「初心者がつまずきやすいポイントを事前にカバーしてくれている」ところです。例えば、証券口座の開設に必要なステップや、スマホアプリでの購入画面の説明などは、実際の操作をイメージしながら進めることができ、「読んで終わり」ではなく「行動に移せる」内容となっていました。
また、年代別の戦略提案も非常に参考になりました。筆者は単に「この銘柄を買え」と指示するのではなく、読者の人生設計や価値観に寄り添う形でのアドバイスを提示しており、「自分なりのNISAの使い方」を考えるきっかけにもなります。50〜60代向けの章では、配当金や出口戦略など、資産を守る視点にも配慮があり、若者からシニア世代まで幅広くカバーされています。
一方で、金融知識にやや自信がある中級者以上にとっては、情報量がやや物足りないと感じる部分もあるかもしれません。本書はあくまでも「超初心者向け」の構成であり、金融商品を比較・分析したい読者にとっては、別の専門書との併用が望ましいでしょう。
とはいえ、「何から始めていいかわからない」という方にとって、本書は間違いなく“はじめの一歩”として最良の選択肢のひとつです。最終章にある「新NISAを始めて良かった、と思う日がきっとくる」という言葉のとおり、まずは行動してみることの重要性を優しく背中を押してくれる一冊でした。
🎯おすすめ読者層
- 新NISAをこれから始めたい初心者
- 証券口座をまだ持っていない人
- 投資に不安があるけど始めてみたい人
- 金融知識に自信がない20〜60代の幅広い層
- 親や配偶者にNISAを勧めたい人にも
⭐総合評価
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 分かりやすさ | ★★★★★ |
| 実用性 | ★★★★☆ |
| 初心者への配慮 | ★★★★★ |
| 情報量 | ★★★☆☆ |
| 読みやすさ | ★★★★★ |
| 総合満足度 | ★★★★☆(4.6/5) |


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