レビュー
📘 書籍紹介(約800字)
『「運のいい人」の科学 強運をつかむ最高の習慣』は、ただの“運任せ”を否定し、「運とは再現可能な行動と習慣の結果である」と説く科学的・実践的な一冊です。著者のニック・トレントン氏は心理学に基づいた人間行動の研究をもとに、「運のいい人」に共通する考え方・行動パターン・性格特性を体系化。運を偶然や神秘とせず、日常の中で誰でも鍛えることのできる“力”として論じています。
本書の構成は非常に明快で、「運とは何か?」という哲学的な問いから始まり、具体的にどうすれば“運を良くできるのか”を7章に分けて解説しています。各章の終わりには要点のまとめがあり、読者が振り返りやすく、実践に移しやすい工夫が施されています。
特に印象的なのは、運を「チャンスと準備が交差する場所」と定義している点です。つまり、ただ待っているだけでは運は掴めず、自分から動き、準備を整えることで初めて「運が良い人」になることができるという考え方です。また、「行動の表面積を増やす」という表現は、行動量と出会いの多さが運の質を左右するという本質を突いています。
全体としては、自己啓発書の側面を持ちつつも、精神論に偏らず、読者が自らの行動を見直し改善するヒントに満ちた内容となっています。「運」に疑問を持ったすべての人にとって、有益で実用的なガイドブックとなるでしょう。
要点
- 運は偶然ではなく、「チャンス × 準備」で成立する。
- 「自分は運がいい」と思うことが行動を前向きに変える。
- 内省を通じた学習が、偶然を必然に変える。
- 準備と行動を怠らない人に、チャンスは集まる。
- 好奇心・柔軟性・能動性が、運を呼び込むマインドセット。
- オープンで安定した性格が、信頼と新しい機会を引き寄せる。
- 人との接点や行動範囲を広げることで、運の母数が増える。
- 運は「技術」であり、「習慣」で鍛えられるものである。
感想
読み進めるうちに、「運」という一見つかみどころのないテーマが、じつは極めて“具体的”な行動の積み重ねから生まれているという気づきを何度も与えてくれました。私たちはしばしば「自分はツイていない」と感じたとき、その原因を外部に求めがちです。しかし本書は、むしろ内側——自分の思考・態度・習慣にこそ原因と可能性があると教えてくれます。
中でも特に印象に残ったのは、「信じることで現実が動き出す」というメッセージです。たとえば「自分は運がいい」と信じることで、行動が前向きになり、チャンスを逃さず掴むことができる。これは単なるポジティブシンキングではなく、認知心理学に基づいた実践的な思考法として提示されています。
また、「運を呼び込むには、行動の表面積を広げろ」というアドバイスは非常にリアルです。日常の中で人に話す、新しい環境に飛び込む、自分をさらけ出す――そういった行動の積み重ねが偶然を引き寄せる母体になるという視点は、日々を変える力になると感じました。
一方で、「運は技術である」というフレーズには少し冷たさを感じる人もいるかもしれません。しかし、だからこそ“再現可能なスキル”として捉え直せば、自分にもできるという希望を持つことができます。運を「外的要因」から「内的習慣」に置き換えた点において、本書は読む人に大きな転換点を与えるはずです。
🎯 こんな人におすすめ
- 「運が悪い」と感じることが多い人
- チャンスに恵まれないと思っているビジネスパーソン
- スピリチュアルではなく、実践的な方法論で自分を変えたい人
- 習慣や思考法を見直して日常に変化を起こしたい人
⭐ 評価
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 読みやすさ | ★★★★☆(一部やや抽象的な部分あり) |
| 実用性 | ★★★★★(行動にすぐ活かせる) |
| 説得力 | ★★★★★(科学的根拠+実例のバランス) |
| 独自性 | ★★★★☆(テーマはよくあるが、切り口が明確) |
| 総合満足度 | ★★★★★ |


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