『頭のいい人になる「具体⇄抽象」トレーニング』

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レビュー

『頭のいい人になる「具体⇄抽象」トレーニング』は、思考力を「具体化」「抽象化」という2つの軸から体系的に鍛える一冊である。ビジネス、勉強、人間関係など、あらゆる場面で「考える力が足りない」と感じている人に向け、理論よりも実践を重視したドリル形式を採用している点が特徴だ。

著者の権藤優氏は、情報整理術やロジカルシンキングの専門家として知られる。本書では「頭のいい人=思考の抽象度を自在に調整できる人」という仮説を提示する。つまり、具体的な現象を抽象化して本質をつかみ、それを再び具体的な行動へ落とし込む。この「往復運動」こそが、問題解決力と創造力を両立させる鍵だという。

序章では、思考のメカニズムをシンプルに解説し、続く3章で「具体化思考」「抽象化思考」「往復思考」を段階的に鍛える。各ドリルには難易度が設定されており、読者はクイズのような形式で思考の筋トレを行うことができる。特に印象的なのは、抽象化ドリルにおける「カメレオンとSNSの共通点」など、一見無関係な対象を関連づける問題。これにより、思考の柔軟性とメタ認知が育まれる。

要点

  • 「具体⇄抽象」を往復できる人ほど、思考が深く速い。
  • 具体化=言葉を分解し、曖昧さを消す。
  • 抽象化=本質を見抜き、パターン化する。
  • 両者を結ぶ「往復思考」が、問題解決と創造の鍵。
  • ドリル形式で実践的に思考力を鍛えられる。

感想

本書は、単なる“思考法の本”ではなく、「自分の思考を観察するための鏡」と言える。読んでいると、自分が普段どれほど「具体」に偏りすぎているか、あるいは「抽象」に逃げがちかが自然とわかってくる。

また、各ドリルが身近な事例をもとに構成されているため、難解な理論に頼らずに思考力を体験的に高められる。特に、「モヤモヤを分解する」「不明点を明確にする」といった課題は、仕事の整理術や対人スキルにも直結する。

唯一の弱点を挙げるなら、ドリル形式ゆえに体系的な理論解説が少ない点だろう。思考法の理屈を深く理解したい読者にはやや物足りないかもしれない。しかし、その実践的構成はむしろ「考えることに慣れる」ための優れた教材になっている。

おすすめポイント

  • 思考力を“体で理解したい”人に最適。
  • 社会人・学生問わず、問題解決・企画立案・自己分析などに役立つ。
  • ロジカルシンキング系の入門書としても良書。

総合評価

内容の実用性★★★★★ 思考トレーニングとして非常に実践的
読みやすさ★★★★☆ 例題中心でテンポよく読める
深さ・理論性★★★☆☆ 理屈よりも体験重視
汎用性★★★★★ ビジネス・学習・人間関係に応用可

総合評価4.3 / 5「考える力を鍛える入門書」として秀逸

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この記事を書いた人

私は、経営コンサルタントとして、ビジネスの実践現場で活動しています。現場で「使える知識」として再構成し、“読む → 学ぶ → 行動する” までのビジネスプロセスをサポートしています。

このブログでは、そのようなコンサルティングの経験を通じて、役に立ったビジネス書を紹介します。おすすめ書籍の要約や感想だけでなく、実際に成果につながるエッセンス・行動アイデア・思考法を解説します。「この一冊を読んでどう変わるか?」にこだわったレビューを発信しています。

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