レビュー
この本の強みは、予防医療を「健康のためにやりましょう」で終わらせず、「費用対効果で考えると、やらない方が損」と言い切れる形に整えている点です。
予防は成果が見えづらく、忙しい人ほど後回しにしがちですが、本書はそこに真正面から切り込みます。特に、内視鏡検査や乳がん検診のように“早期発見=損失回避”の色が濃いテーマを、生活者が理解できる言葉で整理してくれるため、医療の知識が深くなくても読み進めやすいです。
また、ポリファーマシーや医療DX、ライフスタイルセンシングなど、従来の「検診本」では扱いにくい領域まで射程に入っており、予防医療を個人の努力論ではなく“仕組みと投資判断”として眺められるのも良いところです。
一方で、読者によっては「すべてを金額換算できるのか」という違和感も残るかもしれません。ただ、その違和感こそが議論の入口で、行動を起こすために必要な“納得の軸”を提示したという意味で価値があります。
健康を守る行動を、自己啓発ではなく合理的な意思決定として捉え直したい人に向く一冊です。
要点
- 予防医療は正しいが、インセンティブが見えにくく実行されにくい課題があります。
- そこで「予防医療の価値をお金に換算する」という切り口で納得を作りにいきます。
- 人間ドック、内視鏡、乳がん検診、総合診療、医療DXなど幅広いテーマを扱います(全9章)。
- 9人の医師・研究者を取材し、専門知と生活者目線を橋渡しします。
- 結論は「予防医療の経済効果は非常に大きい」。個人にも社会にも効く“投資”として提示します。
読書の感想
予防医療は大切だと分かっていても、「今じゃなくていいか」と先送りしてしまう自分に刺さる内容でした。本書は、健康を守る行動を“気合”ではなく“投資判断”として見せてくれるので、検診や生活改善の優先順位が上がります。
特に「お金に換算する」という発想は賛否が出そうですが、忙しい人ほど判断基準が必要なので、むしろ現実的だと感じました。読後は、次の健診を“いつか”ではなく“予定に入れる”ものとして捉え直せます。
健康を守るのは、未来の自分の時間と選択肢を守ることなのだと再確認できました。
こんな人におすすめ
- 健康診断・人間ドックをつい先延ばしにしてしまう人
- 「予防って結局どれくらい得なの?」と費用対効果で納得したい人
- 忙しくて健康管理の優先順位が下がりがちなビジネスパーソン
- 家族の検診受診を後押ししたい人(説得材料が欲しい人)
- 医療DX・ヘルスケアテックなど“予防の仕組み”に関心がある人
総合評価
★★★★☆(4.3/5)
予防医療を「感情」から「意思決定」に引き寄せてくれる点を高く評価します。テーマが広く、まず全体像を掴みたい人に特に向きます。


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