『決算書×ビジネスモデル大全:会社の数字から儲かる仕組みまでいっきにわかる』(矢部謙介 著)

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💭 レビュー

本書を読んで最も印象に残ったのは、決算書を「ビジネスの地図」として捉える視点の斬新さです。多くの会計本が数字の意味や計算方法に終始する中、本書は「なぜこの会社は稼げるのか」「なぜあの会社はつぶれたのか」という本質的な問いに、決算書という客観的なデータから答えを導き出します。

特に秀逸なのが「比例縮尺図」という可視化手法です。売上高、利益、資産、負債などの数字を長方形のブロックとして図示することで、企業の特徴が「形」として直感的に理解できます。「頭でっかち(資産過多)」な企業、「スリム(持たざる経営)」な企業など、ビジュアルで企業の健康状態や戦略が見えてくる体験は、まさに目から鱗でした。

41社の企業分析は、単なる数字の羅列ではなく、各社のビジネスストーリーとして描かれています。例えば、ニトリと大塚家具の比較では、両者のビジネスモデルの違いが決算書にどう表れるかが明確に示されます。大塚家具が抱えた在庫問題、ニトリの高回転率経営。数字の背後にある経営判断の違いが浮き彫りになり、まるでビジネスの現場を覗いているような臨場感があります。

また、サブスクリプション、プラットフォーム、フリーミアムなど、現代的なビジネスモデルについても詳しく解説されており、時代の変化に対応した内容になっています。テクノロジー企業やスタートアップの決算書の読み方も学べるため、投資判断や転職活動にも直接役立つ実践的な知識が得られます。

初心者に優しい構成も本書の大きな魅力です。PL(損益計算書)→BS(貸借対照表)→CF(キャッシュフロー)と順を追って解説されるため、初学者でも迷わず読み進められます。専門用語には丁寧な解説があり、図解も豊富なので、会計アレルギーの方でも抵抗なく読めるでしょう。

唯一の弱点を挙げるとすれば、難易度が低めに設定されているため、すでに財務分析の経験がある方には物足りない部分があるかもしれません。しかし、それでも企業比較の視点や、ビジネスモデルと決算書の連動性については新たな気づきが得られるはずです。

総じて、投資初心者からビジネスパーソン、就活生まで幅広い読者におすすめできる、会計本の新しいスタンダードと言える一冊です。


🔑 要点

  1. 決算書は「ビジネスの地図」 – 無機質な数字ではなく、企業の儲けの仕組み、戦略、経営判断の痕跡を読み解くツールとして活用できる
  2. 比例縮尺図による可視化 – 売上、利益、資産、負債を長方形のブロックで図示することで、企業の特徴や健康状態が直感的に理解できる独自の手法
  3. 41社の実例分析 – Amazon、楽天、ニトリ、キーエンス、任天堂など有名企業の決算書を比較し、業界ごとのビジネスモデルの違いを具体的に学べる
  4. 財務三表の連動性 – 損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書がどう関連し、ビジネスモデルとどう連動するかを体系的に理解できる
  5. 会計知識ゼロでもOK – 専門用語を最小限に抑え、すべての事例が図解されているため、初心者でも企業分析のスキルが身につく

📖 読書の感想

本書を読んで、決算書に対する見方が180度変わりました。これまで決算書は「難しくて退屈な数字の羅列」というイメージでしたが、実はそこには企業の戦略、成功と失敗の物語、経営者の意思決定のすべてが刻まれていることを実感しました。

特に印象的だったのは、同じ業界でも企業ごとに決算書の「形」がまったく異なる点です。ニトリと大塚家具、Amazonと楽天など、競合比較を通じて「なぜこの会社は強いのか」が数字から見えてくる体験は非常に刺激的でした。

図解が豊富で読みやすく、通勤時間や休日のちょっとした時間に少しずつ読み進められる点も良かったです。投資判断や取引先の信用調査、転職先の企業分析など、実生活のさまざまな場面で活用できる実践的なスキルが身につきました。

会計本としてだけでなく、ビジネスモデル分析の入門書としても優れており、ビジネスパーソン必読の一冊だと思います。


👥 こんな人におすすめ

  1. 投資を始めたい初心者 – 株式投資の銘柄選定に必要な企業分析力が、具体的な事例を通じて身につく
  2. 就職・転職活動中の方 – 志望企業の財務状態やビジネスモデルを客観的に評価し、ブラック企業を見抜く力が養える
  3. 営業・マーケティング担当者 – 取引先や競合他社の経営状態を把握し、戦略的な提案や交渉に活かせる
  4. 起業を考えている方 – 成功企業のビジネスモデルと決算書の関係を学び、自社の事業計画に活かせる
  5. 会計本が苦手だった方 – 図解と物語形式で展開されるため、これまで挫折した人でも最後まで楽しく読み通せる

⭐ 総合評価

★★★★★ 5つ星中 5つ星

会計知識ゼロから企業分析力を身につけられる、最高レベルの入門書です。図解のわかりやすさ、実例の豊富さ、実践的な内容のバランスが完璧で、すべてのビジネスパーソンにおすすめできます。


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この記事を書いた人

私は、経営コンサルタントとして、ビジネスの実践現場で活動しています。現場で「使える知識」として再構成し、“読む → 学ぶ → 行動する” までのビジネスプロセスをサポートしています。

このブログでは、そのようなコンサルティングの経験を通じて、役に立ったビジネス書を紹介します。おすすめ書籍の要約や感想だけでなく、実際に成果につながるエッセンス・行動アイデア・思考法を解説します。「この一冊を読んでどう変わるか?」にこだわったレビューを発信しています。

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