『ソニーの経理パーソンになる』(潮清孝、林 尚史 、妹尾 剛好 著)

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⭐ レビュー

本書は、経理という職種に対する固定観念を打ち破る力を持った一冊である。多くの人が経理と聞いてイメージするのは、黙々と数字を扱う地味な裏方仕事かもしれない。しかし本書を読むと、グローバル企業における経理パーソンが、いかに企業の成長戦略に深く関わり、ビジネスの最前線で活躍しているかが鮮明に浮かび上がってくる。

特に印象的なのは、実際に働く経理パーソンへのインタビューである。学生時代の専攻も多様で、会計を専門的に学んだ人もいれば、国際系学部出身者、さらには簿記資格なしで経理を志望した人まで登場する。この多様性は、経理という仕事が単なる会計知識だけでなく、幅広いスキルと視点を必要とすることを示している。

また、ソニーの経理部門におけるDX推進の取り組みも注目に値する。林尚史氏が統括部長として推進するデジタル変革により、経理業務はより効率的で戦略的なものへと進化している。単なる業務処理ではなく、データを活用した経営判断のサポート、グローバルな視点での財務戦略の立案など、経理パーソンの役割は大きく広がっている。

海外研修の章も興味深い。ニューヨークやパナマでの実務経験を通じて、グローバルな税務戦略や異文化でのビジネス展開を学ぶ機会が豊富に用意されている。これは、ソニーが経理パーソンの育成に本気で取り組んでいる証拠であり、キャリア形成の可能性が非常に広いことを示している。

一方で、本書はソニーという特定企業の事例に特化しているため、他の企業でも同様の環境が得られるかは別問題である。しかし、「経理という仕事がこれほど魅力的で、将来性があり、グローバルに活躍できる職種である」という事実を知るには十分な内容となっている。

160ページという比較的コンパクトなボリュームながら、インタビューや図解を豊富に用いることで、読みやすく理解しやすい構成になっている。経理を志す学生だけでなく、キャリアチェンジを考えているビジネスパーソンにとっても、新たな視点を提供してくれる価値ある一冊である。

🔑 要点

  1. 経理は企業戦略の中核を担う職種 – 単なる数字の処理ではなく、経営判断をサポートし、ビジネスの成長に貢献する戦略的な役割を果たしている
  2. グローバルな視点とDXの融合 – ソニーの経理部門はグローバル経理センターを中心にDXを推進し、世界中の拠点と連携しながら効率的かつ高度な業務を実現している
  3. 多様なバックグラウンドが活きる職場 – 会計専攻者だけでなく、国際系学部出身者や簿記資格なしで入社した人材も活躍しており、多様性が重視されている
  4. 充実した人材育成とキャリアパス – 海外研修制度やジョブローテーションを通じて、債権債務管理から国際税務まで幅広い経験を積むことができる環境が整っている
  5. ソニーのPurposeと連動したやりがい – 「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というソニーの理念を、経理という立場から支える使命感と誇りを持って働ける

💭 読書の感想

本書を読んで最も印象に残ったのは、経理パーソンたちの目が輝いているように感じられたことである。インタビューを通じて伝わってくる彼らの言葉からは、単に給料をもらうために働いているのではなく、ソニーという企業の成長に貢献できることへの誇りと、自分自身の成長を実感できる喜びが溢れている。

特にグローバルな環境で働く経理パーソンの姿は、従来の経理職のイメージを大きく覆すものだった。ニューヨークやパナマで税務戦略に携わり、英語でビジネスを進め、異文化の中で成果を出していく。そこには、会計という専門性を武器にしながらも、コミュニケーション能力や異文化理解力、そして何より「世界で勝負したい」という強い意志が必要とされる。

また、DXによって経理業務が変革していく様子も興味深かった。単純作業は自動化され、経理パーソンはより付加価値の高い分析や戦略立案に時間を使えるようになっている。これは、経理という職種の未来が明るいことを示している。本書は、経理という仕事の可能性を再発見させてくれる良書である。

👥 こんな人におすすめ

  1. 経理職を目指す大学生・就活生 – 実際の業務内容やキャリアパスを具体的にイメージでき、志望動機を明確にするのに最適
  2. グローバル企業で働きたいビジネスパーソン – 世界規模で展開される経理業務の実態と、国際的なキャリアの可能性を知ることができる
  3. キャリアチェンジを検討している社会人 – 経理という職種の新たな魅力と可能性を発見でき、転職の選択肢として考えるきっかけになる
  4. DXや業務改革に関心がある人 – ソニーの経理部門におけるデジタル変革の具体例から、業務効率化のヒントを得られる
  5. 企業の経営戦略に興味がある人 – 経理という視点から見た企業経営の仕組みや、財務戦略の重要性を理解できる

⭐ 総合評価: ★★★★☆

評価理由:

本書は、経理という職種の魅力とリアルな実態を伝える点において非常に優れた内容となっている。特定企業の事例に特化しているため普遍性には限界があるものの、グローバル企業における経理業務の最前線を知るには最適な一冊である。

高評価ポイント:

  • 実際に働く経理パーソンのリアルな声が聞ける
  • 図解やインタビュー形式で読みやすい構成
  • DX推進など最新のトレンドも網羅
  • 経理職のキャリアパスが具体的にイメージできる
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この記事を書いた人

私は、経営コンサルタントとして、ビジネスの実践現場で活動しています。現場で「使える知識」として再構成し、“読む → 学ぶ → 行動する” までのビジネスプロセスをサポートしています。

このブログでは、そのようなコンサルティングの経験を通じて、役に立ったビジネス書を紹介します。おすすめ書籍の要約や感想だけでなく、実際に成果につながるエッセンス・行動アイデア・思考法を解説します。「この一冊を読んでどう変わるか?」にこだわったレビューを発信しています。

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