米国公認管理会計士(USCMA)試験対策:Income Statement(損益計算書)

米国公認管理会計士(CMA)

米国公認管理会計士(USCMA)試験で問われるIncome Statement(損益計算書)について、ポイントを確認していきましょう。

Income Statement(損益計算書)については、以下のポイントをしっかりとわかるようにしておくことが大切です。

  1. 財務諸表の利用者とそのニーズ
  2. 各財務諸表の目的と用途
  3. 各財務諸表の主要な構成要素と分類の識別
  4. 各財務諸表の限界
  5. 様々な金融取引が各財務諸表に与える影響、その取引の適切な分類
  6. 各財務諸表の関係性についての関連づけ
  7. 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュフロー計算書(間接法)の解釈

1 損益計算書 
損益計算書とは一定期間の会社の業務に関連する収入、支出、利益および損失に関する情報を提供することが目的の財務諸表です。

1.1 損益計算書の用途
損益計算書は、投資家がある企業に投資するにあたり、その収益性や価値の判断や銀行等が融資するに値するかどうかの信用度を判断するために利用されます。収益性を評価することで、投資家や銀行等が、企業が資産をどのように使って利益等を生んだのかがわかります。

特に区分損益計算書(multistep income statement)は、ステークホルダーが営業利益(損失)および補助的な活動から得られる当期純利益の構成要素を分類し、リストアップしているので、企業の価値や長期的な支払能力を判断・評価しやすくなります。

1.2 損益計算書の構成要素
区分損益計算書(multistep income statement)では、営業項目と営業外項目の2つのカテゴリーを確認することができます。営業収益および営業費用は、企業の主要な収益獲得活動に直接関連するものです。営業外収益・費用、利益・損失(支払利息、受取利息など)は、企業の周辺的・付随的な活動に関連しており、継続事業からの収益に含まれます。

    Sales                                
    Cost of goods sold                 
    Gross profit                      
    Selling, general and admin expenses 
    Operating income                  
    Non‐operating income
    Investment income                 
    Interest expense                 
    Net income         

営業活動から生じる収益と非営業活動から生じる収益を区分することにより、損益計算書のユーザーは経常的な収益と非経常的な収益を区別することができます。経常的な項目は、定期的に発生し、収益に一貫した影響を与える可能性が高いものです。非経常的な項目は、経常的に発生する可能性が低く、収益に不規則な影響を与える可能性があります。
法人税等は、損益計算書上、主要な小計として個別に計上されています。

1.3 損益計算書の表示
損益計算書は、営業収益および費用を営業外収益・費用およびその他の損益と区別して表記します。区分損益計算書は、売上総利益、営業利益、税引前利益などの主要な小計を表示しています。 
区分損益計算書の利点は、ユーザーが知りたい情報が充実しており、表示される項目は分析的比率を算出するためのデータを獲得しやすくなります。

 1.4 単一区分の損益計算書
single-step income statement(単一区分損益計算書)では、継続事業からの利益と総費用(税金費用を含む)が、総収入から一度に差し引かれる形で表示されます。単一区分の損益計算書の利点は、そのシンプルが故に様々なタイプの収益または費用が他のタイプよりも重要であるように見えないことにあります。 

    [Revenues]
    Sales                            
    Investment income                
    Total revenues 

    [Expenses]
    Cost of goods sold               
    Selling, general & admin expenses 
    Interest expense                
    Total expenses                  
    Net income        

               

1.5 損益計算書の限界 

経営において、仮定と見通し次第では報告する損益を調整することが可能です。仮定と見通しは、減価償却費、製品保証費や借金などの項目の会計処理時に利用されます。

例えば、減価償却費には耐用年数にわたる費用の配分が含まれます。適切な耐用年数、残存価額および減価償却方法は、資産の使用に関する見通しにもとづき経営陣が決定します。販売した棚卸資産に関連する将来の保証費用については、販売時点で見積もりを行い、計上する必要があります。信用販売により、顧客が最終的に支払をしない場合、貸倒れが発生する可能性があります。このようなリスクに対して、経営陣は債権の評価に基づいて引当金を計上します。表示されている各項目は不確実性を含んでおり、そのため経営者はその見通しの正確性を算出する必要があります。評価項目が主観的であるため、仮定や見通しを操作して、損益計算書をよく見せることも不可能ではありません。

前提条件や見通しを操作することは、利益の平準化と呼ばれることがあります。このような手法の活用については、賛否両論があります。投資家や債権者は、収益の変動が管理されている方が、報告された収益を分析しやすく将来の業績を予測することができると主張する人もいます。しかし、利益の平準化は利益操作につながり、結果として財務状況の見え方が変割、投資家や債権者が事業のリスクを十分に理解できなくなると考える場合もあります。 

損益計算書のもうひとつの限界は、経営者が分類の変更を行うことができるという点です。例えば、営業費用を営業外費用に分類し、その結果、営業利益が多く計上することができます。営業利益は、投資家や債権者が会社の業績を評価し、将来の業績を予測するために利用されます。当期純利益は変化しませんが、費用の分類操作により、本業に基づく利益の評価(収益の質)が本来よりも良く見えるようになります。このように、仕分け次第では、企業の収益性を歪めることにつながります。