レビュー
『投資で2億稼いだ社畜のぼくが15歳の娘に伝えたい29の真実』は、会社員として長年働いた後にFIRE(経済的自立・早期リタイア)を実現した著者・東山一悟氏が、自身の経験と知恵を次世代に伝えるために執筆した“等身大のマネー教養書”です。
著者は特別な才能を持った人ではありません。かつては「社畜」を自称するほどの働きづめの日々を送り、50歳で早期退職を勧奨されるという転機を迎えます。しかし、そこからコツコツと投資を学び実践し、退職金を含めた資産運用で2億円以上の資産を築いたのです。
本書ではそのプロセスと哲学を、まるで娘に語りかけるようなやさしいトーンで綴っています。「お金は善でも悪でもない」「現金貯金だけでは不十分」「投資は複利で時間を味方につけるゲーム」など、耳の痛いが真実を突いたアドバイスが並びます。
扱うテーマは、株式投資の基本から、NISAやiDeCoの活用法、インデックスファンドとアクティブファンドの違い、個別株の選び方、そしてFIREのリアルな実現プロセスまで。難しい専門用語は控えめで、あくまで“普通の人でもわかる・実践できる”ことに重点を置いています。
また、単なる投資テクニックにとどまらず、「なぜお金を増やしたいのか」「人生におけるお金の役割とは何か」といった根本的な問いにも触れているのが特徴です。最後には、思い出を作りながら資産を“使っていく”フェーズにも触れており、お金と時間のバランスをどう取るかという視点でも参考になります。
要点
- お金に良し悪しはなく、「使い方」が重要。
- 投資は将来の不安に備えるための「生きる技術」。
- インフレ時代には現金貯蓄よりも株式などの資産が有利。
- 株式投資の原則は「長期・分散・積立・継続」。
- 感情に左右されず「航路を守る」姿勢が成功の秘訣。
- 著者のような普通の会社員でも、積立と継続で資産2億を築ける。
- NISA・iDeCo・ネット証券など制度とツールの活用がカギ。
- 投資は哲学。自分に合ったスタイルを見つけることが重要。
- FIREは一部の人の特権ではなく、準備と心構えで誰でも可能。
- 経済的自由=お金に縛られない「時間と人生の選択肢」。
読後の感想
本書を読んで感じるのは、投資を「資産を増やす手段」としてだけでなく、「人生の選択肢を広げる技術」として捉えている点の重要性です。
著者は自身の失敗と成功を赤裸々に綴りつつも、それらを教訓として読者に提供してくれます。特に印象的だったのは「投資に必要なのは才能ではなく継続力」というメッセージです。短期的な成功例や過剰な煽りとは異なり、「時間こそが最大の味方」であるという冷静な視点に深く共感しました。
また、「個別株投資=推し活でいい」というユニークな表現も親しみやすさを感じさせます。投資を堅苦しいものとして捉えるのではなく、好きな企業や応援したい会社を見つけることから始めるというアプローチは、初心者にとってハードルを下げる良い導入になります。
さらに、FIREを特別な人の目標ではなく、誰もが目指せる「生き方のひとつ」として提示している点も本書の魅力です。大量の資産を築いた著者が、遺産よりも「思い出づくり」に重きを置いている姿は、投資=節約や貯金の延長という固定観念を打ち破ってくれます。
一方で、「15歳の娘に伝えたい」という体裁ではありますが、実際の内容はやや大人向けです。経済や社会制度への理解がある程度ある人にこそ響く内容が多く、「親が読んで子に伝える」スタイルの方が適しているかもしれません。
全体として、投資に不安を感じている人や、これから資産形成を始めたいと考えている社会人にとって、本書は実用的かつ背中を押してくれる一冊です。
おすすめの読者層
- 投資に興味はあるが、何から始めていいかわからない初心者
- 将来の経済的不安を感じている若手社会人
- FIREを目指すが、現実的なステップを知りたい人
- 子や家族に「お金の教育」をしたいと考える親世代
- 書店の「難しすぎる投資本」に疲れた人
評価
| 評価項目 | 点数 | コメント |
|---|---|---|
| 読みやすさ | ★★★★☆ | やさしい語り口で理解しやすい。投資初心者にも配慮あり。 |
| 実用性 | ★★★★★ | NISA・iDeCo・投資信託など、すぐに使える知識が豊富。 |
| 説得力 | ★★★★☆ | 実体験に裏打ちされたリアルな言葉が多く、共感しやすい。 |
| 新規性 | ★★★☆☆ | 内容自体は投資の王道だが、語り口と視点がユニーク。 |
| 総合評価 | ★★★★☆ | 投資を通じた人生設計書として優れた一冊。 |


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