⭐ レビュー
本書の最大の魅力は、投資の世界を複雑で難解なものとして扱うのではなく、誰もが実践可能な「王道」として提示している点です。多くの投資本が高度なテクニックや短期的な利益追求に焦点を当てる中、本書は世界経済の成長という大きな流れに乗る長期投資の重要性を一貫して説いています。この姿勢は、投資初心者にとって非常に安心感を与えるものです。
著者の岩崎陽介氏の豊富な実務経験が随所に活かされており、単なる理論の羅列ではなく、実際に多くの人々を支援してきた中で得られた知見が凝縮されています。特に第4章で扱われる「誘惑・メディア・脳のクセ」という投資を妨げる三つの罠についての解説は秀逸で、なぜ多くの人が投資で失敗するのか、その心理的メカニズムを明確に理解できます。
新NISA制度が始まった今、まさに時宜を得た内容であり、制度の活用法が具体的に示されている点も実用的です。iDeCoとの使い分けや、それぞれの税制メリットを最大限に引き出す方法など、読者がすぐに実践できる情報が満載です。
また、第9章の「資産運用は老後で終わらない」という視点は他の投資本にはあまり見られない独自性があります。資産承継まで見据えた長期的な視野は、単なる個人の資産形成を超えて、家族や次世代への責任という新たな価値観を提示しています。
文章も平易で読みやすく、専門用語も丁寧に説明されているため、投資の知識がゼロの人でも挫折することなく読み進められます。220ページという適度なボリュームも、忙しい現代人にとって手に取りやすい分量です。
💡 要点
- 王道資産運用とは世界経済の成長に長期投資すること – 投機や特別な投資法ではなく、世界株式の良質な投資信託に、NISA・iDeCoを活用して長期投資することが最も堅実で効率的
- 投資への恐怖心は正しい知識で克服できる – 投機と投資の違いを理解し、株式の本質的な強みを知ることで、投資に対する不安や恐怖を取り除くことができる
- 人間心理とメディアの罠を理解する – 誘惑、メディアの情報、脳のクセという三つの罠が投資判断を誤らせる原因となるため、これらを認識し対処することが重要
- ドル・コスト平均法とライフプラン設計の重要性 – 積立投資を仕組み化し、人生設計と連動させることで、ブレない投資を継続できる基盤が構築される
- 新NISA・iDeCoを最大限活用する – 税制メリットを理解し、両制度を適切に使い分けることで、効率的に資産を増やすことができる。資産承継まで見据えた長期戦略が必要

📖 読書の感想
この本を読んで最も印象的だったのは、「投資は希望である」という著者のメッセージです。多くの人が投資を難しく危険なものと捉えがちですが、本書は投資を未来を自らデザインするための前向きな手段として位置づけています。この視点の転換は、投資初心者にとって大きな励ましとなるでしょう。
特に共感したのは、情報過多の現代において、シンプルで王道のアプローチこそが最も効果的だという主張です。SNSや金融メディアには日々様々な投資情報が溢れていますが、それらに惑わされず、世界経済の成長という大きな流れに身を任せる長期投資の重要性が腑に落ちました。
また、ライフプラン設計と資産運用を連動させるという考え方も実践的で素晴らしいと感じました。投資を単独の活動として捉えるのではなく、人生全体の中に位置づけることで、より安心して継続できると実感しました。新NISA制度が始まった今、まさに読むべきタイミングの一冊だと思います。
👥 こんな人におすすめ
- 投資初心者で何から始めればいいか分からない人 – 基礎から王道の方法まで体系的に学べるため、投資の第一歩を踏み出したい方に最適
- 新NISA・iDeCoの活用法を知りたい人 – 2024年に始まった新制度を最大限に活用するための具体的な方法が詳しく解説されている
- 投資に対して恐怖心や不安を抱いている人 – 投資と投機の違い、リスクの本質を理解することで、心理的なハードルを克服できる
- 短期的な利益追求ではなく長期的な資産形成を目指す人 – 時間を味方につける長期投資の重要性とその実践方法を学びたい方に
- 将来の資産承継まで考えたい人 – 自分だけでなく次世代への資産の引き継ぎまで視野に入れた資産運用を考えている方に有益
⭐ 総合評価
★★★★★(5つ星中5つ)
投資初心者から中級者まで幅広く役立つ、まさに「王道」の資産運用ガイド。新NISA時代に必読の一冊です。


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