レビュー
お金の本は、節約・投資・税金のどれかに尖っていることが多い。でも本書の良さは、「お金=人生の選択を広げるための共通言語」として扱っている点にある。
読む前は“ファイナンス超入門”という言葉に身構えたが、ゴールが「専門知識を増やす」ではなく「不安を減らして選択肢を増やす」ことに置かれているので、読者の心理的ハードルが低い。
ニュースで見かけるROEやポートフォリオ、M&Aといった用語も、丸暗記ではなく「それは何を測り、何を判断するためにあるのか」という軸で説明されるため、理解が“記憶”ではなく“判断”に結びつく感覚がある。特に、仕事の意思決定(転職・独立・学び直し)と家計の意思決定(住宅・保険・資産運用)を同じ地図の上で考えられるようになるのが大きい。
お金の話が苦手な人ほど、感情で避けてきた領域に、言語化の手すりが付く。注意点としては、即効性のある「今月の家計を○円減らす」系のノウハウ本ではないこと。むしろ、節目で迷ったときに“自分の選択を支える考え方”を整える本だ。
お金に振り回されるのではなく、お金を使って人生の自由度を上げたい人に、ちょうどいい一冊だった。
・要点
- お金は「増やす技術」以前に、人生の選択肢を増やすための意思決定ツール
- 「お金が苦手」の正体を、仕組みの理解不足ではなく“判断軸の不足”として整える
- ROE・運転資本・ポートフォリオ・M&Aなどの用語を「何のため?」から理解する
- 仕事(キャリア)と家計(生活)を同じファイナンス視点でつなぎ直す
- 将来不安を減らし、節目で後悔しにくい「選択の型」を手に入れる
・読書の感想
「お金の本=節約か投資」と決めつけていたが、本書は“選択”に焦点が当たっていて読み味が違った。特に、ニュースで聞いたことのある横文字や指標が、暗記対象ではなく「判断のための道具」として整理されるのがよかった。
お金の話題に苦手意識があると、損得よりも先に思考停止してしまう。でも本書を読むと、「いま何を決めたいのか」「そのために何を見ればいいのか」という順番で考えられるようになる。
結果として、将来の不安がゼロになるわけではないが、不安に名前がつき、対処の方向性が見える。人生の節目で“なんとなく”ではなく“納得して”選びたい人に効く本だと思う。
・こんな人におすすめ
- お金の用語が苦手で、ニュースや投資の話を避けがちな人
- 転職・独立・家購入など、人生の節目の判断に自信が持てない人
- 家計管理や資産運用を、気合いではなく“仕組み”で理解したい人
- 会社の数字(利益・指標)が自分の生活とどう関係するか知りたい人
- 節約・投資の前に、まず「判断軸」を整えたい人
・総合評価
★★★★☆(4.6/5)
入門としてのわかりやすさと「選択」に効く視点が強い。即効ノウハウ本を求める人には物足りない可能性があるが、長期的に判断力を底上げしたい人には高評価。


コメント