その判断は正しいですか?誰にでもあるバイアス
5つのバイアス
私たちは、いつも正し判断をしようとしています。
しかし、どんなに慎重に判断しても、間違った判断をしてしまうこともあります。
なぜ間違った判断をしてしまうのでしょうか。それは私たちの判断にはどんな時でもバイアスが含まれているからです。
バイアスには大きく分けて5つあります。私たちは常にこの5つのバイアスのどれかによって判断を歪められています。
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・ 正常性バイアス
・ 結果バイアス
・ 確証バイアス
・ 無意識バイアス
・ 現状維持バイアス
この5つのバイアスについて、一つずつ解説していきます。
正常性バイアス
「正常性バイアス」とは、本来予測できて回避できる被害を現状では認めずに「まだ大丈夫、すぐにそんなことが起きるわけがない」と、都合の悪いことを無視してリスクを最小評価してしまうことです。
例えば集中豪雨や地震が起きた時に出る避難警報を「そんな大げさな、まだ大丈夫だろう」と思い込んで避難しないのが、正常バイアスです。
私たちが判断するには、
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専門家の意見
具体的なデータに基づいた証拠
報道される事実
この3つがあってはじめて、それは本当のことであると認識すると言われています。この3つが一つでも欠けると、「不安から逃れたい、今が正常のはずに違いない」、こういったバイアスが起こり、私たちの判断を歪めます。
人は正論を受け入れたくない習性を持っています。それは心理的リアクタンス、つまり選択する事由が無く、相手から行動を強制されると良い提案でも反発しようとするからです。思い当たる節はありませんか?「変えたくない」と思った時は、正常性バイアスにかかっていないか、自分でセルフチェックしてみましょう。
結果バイアス
「結果がすべてだ!」
こんなカッコいいセリフ、一度は言ってみたいです…でもそんな考え方もバイアスです。その名も結果バイアス。
「結果バイアス」とは、努力した途中のプロセスを全く考慮せずに、結論だけで判断する先入観のことです。
リスクを取らずに今まで通りにやってほんの少し利益を出した人。一方、大きなリスクを取って挑戦し失敗した人。どちらが評価されるかというと、「慎重な判断の結果、会社に利益をもたらした」リスクを取らなかった人です。こうした組織は誰もチャレンジすることはなく、どんな小さな失敗でも一つも許されません。もちろん、イノベーションなどは絶対に起こらない会社です。
いい子ちゃんだけが評価され、改革しようとする人は、破壊屋もしくは破天荒のレッテルを張られ、能力を出し切れずに才能が埋もれてしまいます。
チャレンジや失敗からしか得られない学びや気づきの方が、よほど大きな利益だと評価してくれる会社で働きたいものです。皆さんの上司や会社はどうですか?
確証バイアス
堂々と理論整然に正論を言う人の根拠は、もしかすると自分にとって都合のよい情報だけ集めている可能性があります。これを「確証バイアス」と呼びます。
そんな人への反論は、ひろゆき式で一発で駆逐できます。
「それって、あなたの意見ですよね?」
ほんとうにフェアな人の正論は、自分が思うことと違う意見を「自分を否定するもの」として、被害妄想的に排除したりしません。また、自分の言いたいことをサポートする情報ばかり集めるのではなく、自分の言いたいことに反する情報からもしっかりと判断します。
たとえばワクチンの陰謀諭に賛同する人たちは、確証バイアスにかかっています。国民の半数近くの事例から数個だけ取り上げて、その例外的な数字で全体論としてしまうのは、正に自分の都合のいい情報だけ集めて判断している人です。
自分の主張が正しいと強く主張する人は思い込みが強く、主張が間違っている可能性をしっかりと確認することはとても大事なことです。
もし偏った考えに同調してくれるコアなファン集めるのがもくてきであれば、確証バイアスは上手く機能するかもしれませんが、それ以外であれば是非、客観的に自分を省みるツールとして使うことをおススメします。
無意識バイアス
「考えれば確かにそうなのに、なぜあの時わからなかったんだろう?」
思い起こすと、こんなこと結構ありますよね。あとからじっくり考えたらわかることなのに、もっともらしい意見につい賛成してしまうのは、「無意識バイアス」の仕業です。
例えば、文系の人は数字に弱い、高齢者はITに弱い、若者はすぐに会社を辞める、男性は女性よりもプレッシャーに強いなど、このような考えは全て無意識バイアスです。
ちょっと前に東京医科大学の入学試験で女性受験者を一律減点して社会問題になってことがありました。女性は出産や子育てなどでどうしても現場から離れなければならない時があります。こうした事情を逆手にとって、女性受験者に不利な合格基準を設けたのも、女性だから将来離職するにちがいないといった無意識なバイアスが働いていたに違いありません。
無意識に働く先入観なので、どうしようもできません。しかし時間をかけずにすぐに決断したり行動したりする時は、一度立ち止まってその決断や考えが無意識に頭に浮かんでいないかを確認する癖をつけておくと良いと思います。
ツイッターでのつぶやきなどは、ほとんどが無意識バイアスの意見にも思えます。皆さんにもきっと無意識バイアスがあるかもしれませんね。
現状維持バイアス
部下が業務を改革しようとしたり、新しいことをトライしようとすると、すぐに上司や会社が反対することは、よくあることです。また、良くないとわかっていても必要悪として、見て見ぬふりする人もいますよね。
これらの行為は、「今までそうだったから」「前例がない」「リスクがある」など、現状を変えない判断は、「現状維持バイアス」が原因です。
現状維持バイアスとは、得られるメリットよりも、失うデメリットを心配して、変化を拒むことです。
私も若い時は改革や変化を試みましたが、130年以上の歴史のある組織では、ほぼ100%の経営陣が「リスクを抱えるぐらいなら、現状のままがいい」とする意思決定ばかりで苛立った経験があります。
ところで、皆さんはこんなこと思ったり経験したことありませんか?
・転職したい
・もっと安い携帯会社に乗り換えた方が節約できるかも
・ロングヘア―からショートヘアにしたい
・パワハラを止めてほしいと言えない
このように思っても行動しないのは、変化に伴うリスクが怖いからです。
これらの現状維持バイアスを克服するには、怒りやストレスのパワーしかなありません。変えられないのは、怒りのパワーがまだまだ足りないというサインです。だから変えるにはもっと怒っていいんです。とくに社会悪とされる差別や嫌がらせにはどんどん怒りましょう。怒らないと変わらない!そう思いませんか?
人は悪魔に熱狂する?
こうしたバイアスは、時には人に間違った選択をさせてしまいます。なぜなら人は悪魔に熱狂するからです。悪魔とは誘惑のことです。欲しい、こうしたい、といった決断する時は、すでにあなたはその決断を肯定するためのいいところだけを探すように悪魔があなたに囁いており、その悪魔が呟いた通りにあなたは判断します。
自分の判断がバイアスにかかっていないか、今一度、5つのバイアスにかかっていないか、セルフチェックしてみてください。
人が悪魔に熱狂することを論じた本がコチラ👇
『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』